火災:京都アニメーション火災

解析の詳細

     

    【解析結果】
     プリュームの立ち上がりなどの火災性状がわかるよう、温度ボリュームレンダリング(100℃等値面)の時系列変化を示す。 火災プリュームは急速に立ち上がり、4秒時点で既に3階に到達している。 わずか8秒で蓄煙は建物端部にまで到達しようとしている様子が分かる。

     

     

     


    図6 温度ボリュームレンダリング 100℃

     

    蓄煙の状況が分かるよう、側方から温度分布を表示した図を示す。 煙の伝播状況を詳しく示すため、火源位置と吹抜け中心の2断面を同時に表示した。
     煙は吹抜けを伝い、急速に上階に上昇する。 3階までの到達に4秒、3階建物端部まで煙が移流するのに約10秒。 30秒以内には建物は煙で充満する。 煙はCO濃度が数%あり、人間は一呼吸で即死する。 外階段もなく、初動で窓を破って逃げた者以外は助からなかっただろう。  シミュレーションをやっていてこれほどやり切れない気分になった事はない。
     火災安全の確保のために、海外がやっているようにもっと3次元煙流動シミュレーションが普及するべきである。

     

     

     


    図7 Y断面温度分布を側方から俯瞰 火源断面と吹抜け中心断面
・解析の目的
2019年7月18日、受付付近で燃焼促進剤を撒かれて放火された京都アニメーション第一スタジオは、非常に速い火の回りで35名もの死者を出す、希に見る大惨事となった。 この火災は火災安全的に問題のあった建物で起こったが、それでも何故このような大きな災害となったのであろうか。 3次元煙流動シミュレーションでこの謎を紐解いてみよう。
・解析の内容
火災検討には3種類の方法がある。 1つは火災実験であり、あと2つは数値シミュレーションである。 火災実験は費用や手間の割に再現性が乏しいので置いておくとして、数値シミュレーションは二層ゾーンモデルと3次元煙流動シミュレーションの2つの手法がある。

 

火災シミュレーションの目的としては、煙流動を予測  ― 所定時間内での避難可否判定、熱・煙濃度の移流拡散の評価火災現象の解明 ― プリューム熱対流の性状,蓄煙現象、建物構造・換気の影響 などである。
また2つの手法の違いは、
◆二層ゾーンモデル:ネットワークモデル(回路網)で簡易に解く
◆3次元煙流動シミュレーション(CFD):建物躯体・火源を設定し煙流動を詳細に解く
二層ゾーンモデルが解析精度で著しく劣るのは明らかであり、それに対して3次元煙流動シミュレーションは、精度では優位だが計算時間が掛かる。

 


図1 二層ゾーンモデル

 


図2 3次元煙流動シミュレーション(CFD)

 

<火災解析の概要>
 火災時の写真、報道された平面図などから建物躯体を構築し、解析モデルを作成した。

 


写真1 建物の火災時の状況

 


図3 解析モデル全景

 


図4 作成した建物躯体

 


図5 建物内部と火源位置

 

開口と間仕切り・吹抜け・内階段はすべて再現し、開口は全て開放状態とした。 当時の気温29℃、風向NNEで風速1.7m/secである(京都地方気象台アメダスデータより)。 火源の設定は、吹抜け(螺旋階段)の南側で2m×3mで6㎡とし、ガソリン40Lが30秒で燃焼したと仮定した。 報道では人体に爆発による損傷の見られた例はなく、爆発ではなく極めて急速な燃焼があったと見るのが妥当である。
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