自由表面:女川某旅館荷重解析

解析の詳細

・解析の概要
 震災時、宮城県女川町M旅館ビルが津波で70m流された被害が注目されたが、波力と合わせて浮力で引き抜かれ転倒した可能性があります。本報告では、某旅館を含む街区の詳細モデルを構築して所定の波高・速度の入波条件を与え、某旅館付近の浸水状況と波力の状態をシミュレーションで検討しました。
 解析モデルは、某旅館よりも海側の建物群が倒壊のため流失していないケースと流失したケースの2通りのデータを用意しました。これは、現地の被害状況から、某旅館の海側の建物群が某旅館へ建物の波力を緩和した場合と、これら建物群が某旅館が転倒する前に消失して津波が直接某旅館建物に当たった場合の2つを検討するためです。

 某旅館の周辺建物群と地盤の起伏、及び最寄りの海底地形はGoogleEarth,国土数値情報,海上保安庁のデータからできるだけ正確にCADデータとして再現しました。津波の入波条件としてはFr数と波高で波の速度が決まるので、波高10m,Fr数1.0と設定し、段波の初期流速として所定の流速を海底から海面まで一様に与えました。
 某旅館建物の軒高12mに対する静水圧分の水平波力を水深係数1.0として計算すればこの波力以上で滑動することになります。M旅館建物の海側建物群が有る場合と無い場合では設計耐力が格段に大きくなるので、この建物は水平波力で転倒したのではないかと言う推測が成り立つと考えられます。
一つの推論として、街並みがある場所に津波が流入する場合、海側で大きな段波・砕波があったとしても、建物群で遡上する勢いを減殺され越流状態になることが予想されます。海岸線から遠い建物では越流主体で波力を考慮すれば良いことが推論できます。

 このように、VOF法による津波荷重解析を震災時の女川町某旅館の転倒現象に適用し、当該建物は水平波力により転倒した可能性を示しました。 但し、建物の海側建物群の倒壊状況により波力は大きく変化するので今後建物の倒壊・流失状況を予測可能な技法の開発を進めたいと考えます。
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