外部気流:冷却塔ショートサーキット解析

解析の概要

断面温度分布

表面温度分布と冷却塔熱排気

【冷却塔ショートサーキット解析】

 夏季においては、風向及び建物と熱排気設備との位置的関係によっては、排気がそのまま設備の吸込み口に吸い込まれるショートサーキット現象を起こし、設備の熱交換率が著しく低下する場合があります。

 

【上記画像の説明】

 本解析では、卓越風下での建物後流側5階部分に冷却塔群を設置しているため、発生した大きな渦流が冷却塔の部位で大きな吹き降ろしと横殴りの風を発生させるので、ショートサーキットが起こりやすくなっています。

解析の詳細


      断面温度+速度ベクトル図


      温度等値面図


      温度分布複数断面図


      粒子軌跡(ベクトル)図

       高層ビルでに冷却塔・チラーをどこに付設するかは昔からの古くて新しい問題です。冷却塔・チラーは空気を吸い込みやすい開放空間で稼動するよう設計されているのに、意匠デザイナーや施主さんなどの景観上好ましくないという意向で、いろいろなものに囲われたりピットの中に設置されるケースが大半です。周囲の空間が狭い悪条件で冷却塔を正常に動かす事を要求される設備屋さんは大変です。本解析の場合では、複数の冷却塔が5階レベルに設置されているのですが、夏季に頻度の高い風向に対しこのケースの場合は冷却塔の設置場所が後流渦(Wake)の中に入ってしまう関係で、冷却塔の一部はショートサーキットを起こします。すなわち冷却塔が自身の暑い排気を吸い込んでしまい、極端に冷却効率が悪くなってビル内の空調機器に冷気を供給できなくなります。対策としては、邪魔板を設置して冷却塔自身の暑い排気を吸い込まないようにした事でこのケースは難を逃れましたが、ろくな検討もされず冷却塔を設置してエネルギー的なムダを余儀なくされているビルは多いと言えます。また、週辺に高層ビルが立った事により冷却塔の稼働条件が悪化した事例もありますが、このような場合もCFDによる熱気流解析による検討は非常に有効です。

・解析の目的
 夏季においては、風向及び建物と熱排気設備との位置的関係によっては、排気がそのまま設備の吸込み口吸い込まれるショートサーキット現象を起こし、設備の熱交換効率が著しく低下する場合があります。 そのような状況を回避するため、熱排気と吸込み口の位置関係を最適化する事が重要です。
・解析の内容
 本解析では、冷却塔各セルから放出した熱気の外気温度分布への影響について検討するため、冷却塔各セルを詳細に作り込むと共に、冷却塔が設置されている高層建物およびその周辺建物までモデル化しています。解析条件については、季節は夏季です。冷却塔各セルの吹出し・吸込みおよび熱放出、外部風 (風向SE・NW、風速5m/sec、外気温33℃) を考慮した設定としました。モデルの総格子数は、123×168×69=1,425,816です。

 

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     卓越風下での建物後流側5階部分に冷却塔群を設置しているため、発生した大きな渦流が冷却塔の部位で大きな吹き降ろしと横殴りの風を発生させるので、ショートサーキットが起こりやすくなっています。 本解析では冷却塔群周辺での風の性状が明らかになったので、吸込み口が熱気を吸うと考えられる箇所では邪魔板を設置して熱気を遮る手法が対策として有効である事が分かり実施されました。
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