風環境:傾斜地マンション

解析の概要

断面風速分布

地表面1.5m上方風速分布

傾斜地風環境シミュレーション

 建物は平坦地ばかりに建設されるものではなく傾斜地・法面にも建設される。一般に傾斜を駆け上がる風は風速が非常に強くなり、当該建物周辺の風況を更に悪化させる。これは平坦地での風現象とは異なるので適切に評価する必要があり、場所により起伏が異なる場合は更に評価が難しくなる。 

上記画像の説明
 断面風速分布から風が傾斜面を駆け上がる様子が分かる。風環境評価は地表面1.5mで行うので、当該平面に対する分布を可視化する機能が必要となる。

解析の詳細


    • 地表面の速度分布コンターパース図

    • 地表面・躯体表面の速度分布パース図

    • 地表面・躯体表面の風上からの粒子(パーティクル) 軌跡図
・解析の目的
 風環境解析の中にも難しい問題がいくつか存在する。傾斜地及び起伏のある地形を解析領域に含む解析もその1つである。
 その理由として、建物及びその地盤に高低差があるために解析モデルの作成が難しい事が上げられる。またもう1つの理由として、傾斜地のアプローチ風の条件を以下に設定するかと言う問題がある。やはり通常の平地での解析のようにべき乗側分布を基本とするが、斜面の傾斜に沿った分布を設定する事が望ましい。また更には通常の解析よりも天空面の高さを大きめに取る必要性も生じてくる。
 本解析では、斜面の途中に建設された高さ20m程度のマンション(青色で着色)が、近隣の住戸どのような影響を与えるか、風環境の変化を検討した。
・解析モデル
 計画建物及び近隣住戸を詳細に再現してある。格子数は、244×272×135=8,959,680である。斜面は場所によって微妙に傾斜角度が異なるが、それも解析モデルに考慮されている事は言うまでもない。

  • 解析モデル格子パース図(北西方向より俯瞰)
  • ・解析結果
     斜面を駆け上がった風は、計画建物に当たり周辺に分散するが、アプローチ側において生じる逆流域の大きさが平地の解析と比べて小さく、逆に後流側に生じるウェイクの大きさが目立っている。これは建物に対して上下方向に角度が付いた状態で風が当たることによると考えられる。それらの点を除いては、通常の平地での解析と同じように、建物周辺での風速増加領域の生成が認められたりなど、ほぼ一般的な知見が通用するようである。
     解析上の問題点としては、結果の可視化の問題も存在する。すなわち、傾斜に沿ってのコンター表示や、建物・地盤表面、あるいは地表面からある高さでの物理量の平面分布の表示など、特別な表示機能が無いと解析結果もうまく利用できない事に注意を喚起しておきたい。
    ・お問い合わせ

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