空調解析:温冷感指標(PMV)による体育館の熱的快適性の把握【冬季】

解析の詳細

    【解析結果】
    本解析から以下の知見を得た。
    ・ダクトやアリーナ下部から吹出し口から給気される様子がみられる(図5)。
    ・体育館の居住域における温度は約24~26℃。冬季設計温度22℃に対して約2~4℃大きくなる(図7、8)。
    ・2階アリーナ席の壁面近傍ではコールドドラフトがみられる(図5)。これによって温度は20~22℃程度となり、設計温度を下回ることが確認できる(図11、12)。
    ・1階居住域におけるPMVをみると、-0.5~0.5となり、快適であることを示している(図9、10)。壁面近傍におけるPMVはコールドドラフトによって温度が低下しており、これによってPMVが-1.0~-0.5となることが確認できる(図9、10、14)。
     

     




    本事例のように、WindPerfectを用いて夏季・昼晴天時を想定した基本設計時における体育館内の温熱環境や快適性を把握することが可能であることが分かった。また、本事例では夏季・昼晴天時についての検討を行ったが、季節や時間の想定を変えて検討することも可能である。

・解析の目的
 大きな災害が頻発している中、体育館のような大空間は、災害時における避難場所、帰宅困難者の一時滞在施設として、クローズアップされている。 このため、体育館のような大空間を設計する上での空調設備の基本計画が重要になるが、現状で以下のような問題点が挙げられる。
・熱源や空調機容量が十分でも、空調機の吹出し口・吸い込み口の配置が適切でない場合には、非効率となる可能性があること。
・そのため、避難者が長時間滞在時に居住域の環境が劣悪となり、健康が損なわる可能性が高くなること。
 そこで、本解析事例では、WindPerfectを用いて架空の体育館を想定、モデル化し、空間内の温熱環境や快適性を把握することを目的とした解析を実施した。解析は、空調設備からの給排気、人体・照明の発熱負荷、屋根・壁などからの貫流負荷を考慮する。また、快適性については温冷感指標(以下、PMV)を用いて判断することを目的とする。
・解析の内容
【解析モデル・解析条件】
解析モデル・条件は以下の通りである。
(解析空間の大きさ・総格子数)60m×44m×17.6、2,765,730分割 (図1、図2参照)
  ※解析の対象となるモデルは一般的にみられる構造の2階にアリーナ席のある体育館を想定した。
(解析条件)
・季節:冬季(外気温度0℃)
・室内の発熱条件 (図2、図3、図4参照)
照明発熱 :15W/㎡
人体発熱 :0.7人/㎡ ※人は1階部分のみにいるものとする。
貫流負荷 :屋根3.49W/(㎡・K)、壁1.92W/(㎡・K) ※一部屋内と接しているため、考慮していない。
・アリーナ吹き出し口箇所・風量・18箇所・232200CMH・40℃ (図3参照)
・天井近傍ダクト箇所・風量・12箇所・15000CMH・25℃ (図3参照)
  なお、PMVの算定には、輻射率0.5、相対湿度60%、活動量(met)1.0、外部仕事0W、着衣量(clo)1.0とした。PMVは、-3~+3の間の値によって、快適性を評価する指標であり、マイナスの値になるほど寒く、プラスの値になるほど暑いという評価になり、0で中立(寒くも暑くもない)という評価になる。


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