空調:縦型蓄熱槽内熱流動解析

解析の詳細


    断面温度分布パース図 (Y断面)

    断面温度分布パース図 (X断面)

    粒子 (パーティクル) 軌跡図1

    粒子 (パーティクル) 軌跡図2

    蓄熱槽解析は、やはり他社ソフトでは不可能な解析とお客様からよく言われます。
    槽内の水流の温度分布と速度分布を陽解法できちんとシミュレートしなければならないし、水量と熱量の収支は毎サイクルきちんとチェックしていく必要があるので、陰解法主体の他社さんのソフトでは全く太刀打ちできないと言うのはよく分かります。建築の皆さんはCFD解析をやるのに手間と時間を省き過ぎです。特に3分や5分でCFD解析が出来ると信じている方には、一生解けない問題でしょう。精度と信頼性のある解析には王道は無く、それなりの手間暇が掛かります。蓄熱槽は一定のサイクルで稼働します。温水を受け入れて冷水(空調機の冷熱源)を放出する放熱過程、冷水を蓄積する蓄熱過程の2つの状態を、蓄熱槽は行き来します。そのプロセスで、槽内の温水(13℃程度)や冷水(7℃程度)を供給するノズルからの流れは基本的には噴流ですので渦を伴って周囲の流れを巻き込みながら槽内に進行していきます。渦を伴うということは攪拌が起こっていると言う事であり、その時点で冷水と温水の間の明確な温度境界はボヤけ、せっかく供給された冷水の温度は上昇します。本解析のような縦型の蓄熱槽も、温度境界層型と言われる複数の槽が格子状に配置されるタイプの蓄熱槽も、CFD解析をすれば無駄な冷水との混合が随所で起きているのが分かります。今までに多くの建築物で設置されて来た蓄熱槽に、効率的に無駄があるものが多いのは残念なことですが、こういった解析が注目されるのを期待したいと思います。
    とても大きなエネルギーの無駄ですから。

     

     

・解析の目的
 蓄熱槽の性能を予測する際、蓄熱槽内の流体の温度分布推移を把握することが非常に重要である。その性状は、槽内の形状や流速に大きく左右されその液体温度蓄熱槽の温度成層に影響を与える。 本解析では、蓄熱槽内のダクト・構造物などを再現し、蓄熱槽内の液体の流速および温度成層に関する熱流動解析を行った。
・解析モデル
 10m(W)×10m(D)×10m(H)の蓄熱槽を内部の構造物(ダクトと支柱など)を含めてモデル化した。槽内ダクト上部から高温流体を取り込み、管の下部から水温6℃の低温流体が流入する。総格子数は、72(X)×69(Y)×80(Z)=397,440である。

  • 解析モデルパース図

  • ・解析結果
     本解析では、結果を温度分布の断面図と流線で示している。槽内の流速は最大で約0.1m/sec以下とそれほど大きくないため、大きな乱れは見られず温度成層がみられる。中央部の管の下部から槽内に流入する液体の温度は約6.0℃であり、槽の壁面などからの貫流熱で温められ上昇している。槽の上部では約12.0℃ほどの温度になっており、中央部の管から冷却装置へ取り込まれている。
     本解析では液体に水を使用したが、その他の流体の凝固潜熱を考慮することで氷蓄熱槽などの性能を検討することが可能である。
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