WindPerfectによる外部熱気流シミュレーション(2)
冷却塔・チラー・室外機・煙突などの熱発生機器のシミュレーションは、実は簡単ではありません。 熱気流の移流拡散予測の精度を確保するには高温気流の浮力評価が重要です。 熱源からのプリューム熱対流を再現する必要があるからなのですが、自然換気解析と同様にきちんと浮力の評価をすると同時に、自然界に起こる風の条件を風工学等の知識に沿って設定する必要があります。 弊社はそういった仕事を10数年にわたって重視してきており、様々な外部熱気流問題の解決に寄与してきました。 最近は多数の熱源を持つ問題や、複雑な周辺地形や建物群の影響下での評価など、複雑さを増した問題に粛々と取り組んでいます。 ここでは煙突からの移流拡散問題にフォーカスして事例を紹介します。
外部熱気流シミュレーションのポイント
・適切な評価指標の利用:風速・温度のみの比較だけでなく高温域体積や局所吸込み風量なども利用。
・デザイン・対策への提言:熱問題は深刻なトラブルになる事があり、事前の解析で適切な対策を立案。
・塵埃・有害ガスへの対策:熱だけではなく塵埃や臭気・有害性のあるガスの移流拡散も取り扱い可能。
外部気流:市外区での換気塔排ガスの移流拡散解析


【市街区での換気塔排ガスの移流拡散解析】
我々が生活する街区に熱排気をともなう施設がある場合、気象条件によって排気の拡散が居住域に影響する場合があります。
【上記画像の説明】
換気塔からの排気は風の流れに沿って下流側に移流拡散しますが、周囲の高層建物群による剥離流の影響をもろに受けて、排気は温度を下げつつ蛇行しながら、風下側の建物に接近する様子がよく分かります。
外部気流:超高層ビル煙突排気シミュレーション


【超高層ビル煙突排気シミュレーション】
超高層ビルには必ず大きな煙突排気が塔屋に設置されます。ビルの屋上付近は非常に高風速なので煙突付近の排気は乱れて想定外の箇所が過熱する可能性があります。
【上記画像の説明】
超高層ビルの周辺気流は常に高風速であり、自身の剥離流により後流域も含めて乱れています。 いくつかの風量の異なる煙突排気は、自身の浮力により上昇して後流側に流れて拡散するものもあれば、大気に混合して浮力を無くし塔屋周辺の渦流に巻き込まれて滞留するものもあります。
外部気流:広域での煙突移流拡散解析


【広域での煙突拡散解析】
煙突拡散問題では、往々にして数km四方の広域でのシミュレーションが必要な場合があります。周辺の地域形状や起状はシミュレーション結果に直接影響するので、適切な地形データから入念に調査して出来るだけ正確にモデル化を行ないます。
【上記画像の説明】
煙突からの排気の風量が多くて高温の場合は、上空に高く登って高所の風に乗って遠くまで拡散します。 これに対して煙突からの風量が少ない場合は敷地周辺に排気が滞留する傾向があります。