自然換気:駅舎温熱環境解析

解析の詳細

    • 図1 解析結果図1 東西方向断面
    • 図2 解析結果断面図2 南北方向断面
    • 図3 解析結果パース図 FL+1.125m

     高さの低い建築物でも自然換気を活かした居住域の温度分布低減を図れる事案の好例が、鉄道駅舎の自然換気解析です。本解析では軌道上空に建設される非常にポピュラーな形式の橋上駅舎について、内部の温熱環境の予測を試みました。駅舎は券売機・改札・事務室・コンコースへの階段などの空間で構成されますが、基本的には天井が低く屋根が受ける日射負荷による空間内温度上昇は無視できません。ここでは、屋根面に開口を設けた場合に換気風量がどの程度増加するのか、その際の気流・温度分布状態に偏りはないのかを検討しています。壁貫流やガラスからの日射負荷は可能な限り正確に再現するので、シミュレーション結果は現実の条件に即したものとなっています。

・解析の目的
 駅舎を建設する上で、コンコースや通路など人が行き来をする箇所における温熱環境を把握することは重要である。しかし、駅舎の窓の配置とその窓を透過する日射の影響や各時間帯で駅舎内における滞在する人が増減する影響から、時間別における温熱環境が異なってくる。そのため、駅舎の基本設計時における温熱環境の把握が難しいのが現状である。本解析事例では、WindPerfectDXを用いてある地方都市の夏季16時における架空の駅舎を想定の上、モデル化し、コンコース西側の固定窓を透過・吸収再放射する日射負荷、人体・照明の発熱負荷、屋根・壁などからの貫流負荷を考慮し、駅舎内のコンコース・通路における温熱環境を把握することを目的とする。
・解析モデル
 解析空間の大きさは100m×100m×50mとし、総格子数は2,061,150とした。解析の対象となるモデルは一般的にみられる構造の駅舎を想定した。モデル概要として西側にコンコースを、東側に通路を配置し、コンコースの屋根にトップライトを設置した。解析に使用した気象データはある地方都市のデータであり、16時のデータを採用した。採用したデータは、16時において最も大きくなる西側の垂直面全天日射量692W/㎡、外気温度33.9℃である。コンコース・通路の壁面やトップライトには、給排気のためのガラリ (開口率40%) を設置した。
 発熱条件はコンコースにある西側の窓からの日射負荷、人体負荷 (0.7人/㎡) 、照明負荷 (15W/㎡) 、天井・壁・床の貫流負荷を考慮した。 駅舎の窓の性能は、透過率82%、吸収率10%、反射率8%である。 日射負荷条件の与え方は図6に示す。
 なお、本解析事例は1800秒 (30分) 後の結果であり、計算に要した実時間は約6時間である。

  • 図4 解析モデル1 全体表示
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  • 図5 解析モデル2 内観表示
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  • 図6 日射負荷条件の概念図
  • ・解析結果
     壁面下部にある給気ガラリから外気が供給され、壁面上部のガラリやトップライトから駅舎内の熱が排出される様子がみられる (最上部 図1,2参照)。駅舎内の居住域における温度は36~38℃となり、外気温33.9℃に対して、約2~4℃高くなる (最上部 図3参照)。また、コンコースの西側の一部において西側窓面から透過した日射の影響により約40℃と温度が高くなる様子がみられる。これによりコンコースの西側部分については、窓のガラスの性能を向上させることなどの対策が必要となると考えられる。
     以上の結果より、WindPerfectDXを用いて駅舎内の基本設計時における温熱環境を把握し、温熱環境が厳しい箇所についての対策を提案することが可能である。
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